弁護士法人ニューステージでは、歯科クリニックのご依頼により、患者さんのクレーム対応に関するご相談もお受けしています。
歯科クリニックでは多くの患者さんに対応されているため、一部の患者さんとトラブルが生じることもあります。
クレームの例としては、次のようなものがあります。
こうしたクレームに乗じて、医療ミスと騒がれたり、医療費を払わないとごねられるケースもあります。
クリニックでは、このようなクレームがあった場合に、どのように対応するのかということを事前に決めておくことが重要です。
といった対応が望ましいと思います。
このように、まずは丁寧な対応を行うことになりますが、クレームが激化し、頻繁に来て怒鳴ったり、理不尽な言い掛かりをつけてくるようなケースでは、これに対応するスタッフも医師も疲弊し、クリニックの運営に大きな悪影響が出ることになります。
また、このような患者さんは、クレームと合わせてGoogleの口コミやSNSにおいて、誹謗中傷の書き込みを行うこともあり、対応が必要となることもあります。
そのため、クリニックでの対応に限界がある場合には、速やかに専門家である弁護士にご相談いただくことが望ましいと思います。
歯科クリニックは、地域に密着し、一般の患者さんを対象としているため、悪質な口コミやSNSでの誹謗中傷などの被害に遭うと、大きな悪影響があります。
多数の患者さんを診ておられるクリニックでは、ごく一部の患者さんとトラブルになることがあり、そのような患者さんから、誹謗中傷などの被害を受けることもあります。
また、近年では、違法な業者や同業者による「なりすまし」の口コミが行われているという話もよく聞きます。
典型的な手口としては、Googleマップの口コミに、患者になりすました業者が悪口を記載し、集患に影響が出た頃に、「ネガティブな口コミを放置すれば、信頼を損ないます。」「弊社独自の技術で非表示にできます。」などと売り込んでくるのです。
さらに、「悪い口コミを削除した後、良い口コミを記載します。」とか、さらには、「ライバルのクリニックに悪い口コミを書き込みます。」などといったサービスまであるようです。
歯科クリニックは地域内での競争が激しく、悪い口コミがあれば集患にすぐに影響しますので、このような弱みを突いた悪質な業者がたくさんいると言われています。
実際の患者さんからの口コミでも、また、上記のような架空の口コミであっても、クリニックに与える悪影響は大きく、速やかに弁護士などの専門家に相談して、対応した方が良いと思います。
1. Googleの口コミの削除請求
Googleでの口コミは、アカウントがあれば誰でも記入でき、また、一人でいくつものアカウントが作成できることから、悪質な誹謗中傷や嫌がらせが行われることが多いと言えます。
また、Googleマップでクリニックを調べる方も多く、その際に口コミを読まれる方もいらっしゃいますので、大きな影響があると思います。
Googleの口コミの問題は指摘されておりますが、残念ながら改善されていない状況です。
Googleで悪質な口コミがなされた場合、まずはGoogleへの削除請求を行うことになります。
といった項目を選ぶようになっていますが、誹謗中傷や営業妨害は、「法的問題」ですので上記(5)法的問題を選択して報告するとよいと思います。
一般的なウェブフォームからも削除請求ができますが、「Googleマイビジネス」に登録している場合は、Googleマイビジネスの窓口からも削除請求を行うことができます。
私の経験では、Googleマイビジネスの窓口からの削除請求の方が、対応が早い印象です。
2. 削除仮処分
Googleに削除請求をしたにもかかわらず、削除してもらえなかった場合、裁判所に、名誉毀損を理由として、削除仮処分を申し立てることも考えられます。
裁判所が削除相当と判断した場合には、削除の命令が出されることになります。
これは法的手続ですので、口コミが違法であることを申立人側が立証する必要があります。例えば、「なりすまし」の場合でそのような患者が存在しない場合や、明白に虚偽の事実が記載されている場合などが、削除命令が認められやすい傾向にあるようです。
一方、記載内容が患者の「感想」にとどまる場合は、悪い評価であっても、意見の論評であって、削除命令が否定される可能性が高いと言えます。
請求対象は米国のGoogle.LLCですが、日本の弁護士が代理人となり、手続に参加しますので、削除命令が出た場合は、これに従って削除されているという状態です。
この削除仮処分は、Googleだけでなく、悪質な誹謗中傷を行ったブログやツイッター、掲示板などのサイトの運営者に対して行うことが可能です。
3. 発信者情報開示請求
Google口コミや、ブログ、ツイッターなどのSNSでの書き込みについては、発信者情報開示請求により、記載した本人を特定する手続があります。
Googleの場合は発信者情報開示請求に関するオンラインフォームはありませんが、ブログのプロバイダによってはオンラインで請求できる場合があり、記載した本人に意見照会(開示して良いかとか、名誉毀損にあたるかなどの確認)がなされますので、その時点で削除されることもあります。
発信者情報開示請求の法的手続としては、仮処分が利用されることが多いです。これにより違法な口コミを記載した接続先IPアドレス等が開示された場合、さらに、このIPアドレスを元に、インターネットサービスプロバイダに対して、発信者情報開示請求を行うことになります。
このプロバイダに対する開示請求は、原則として民事訴訟によって行うことになり、これが認められれば、書き込んだ本人の住所、氏名などが特定されることになります。
4. 発信者に対する請求
悪質な発信者に対しては、名誉毀損罪等で刑事告訴をする場合もありますが、多くの場合は、民事訴訟により不法行為の損害賠償請求を行うことになります。
ネットでの誹謗中傷の問題は、被害者の被害回復に多くのコストや時間がかかることなどが問題視され、手続の簡略化に向けて法制度が整備されつつあります。
しかしながら、クリニックの経営に与える影響は大きく、法整備を待っていればよいというものではありません。
悪質な口コミや、ネットでの誹謗中傷については、速やかに専門家にご相談することをお勧め致します。
是非一度、当事務所にご相談ください。