ご相談例

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05.テナントや設備に関するご相談

弁護士法人ニューステージでは、歯科クリニックのご依頼により、歯科クリニックのテナントや設備などに関するご相談を取り扱い、サポートさせていただいております。
 
多くの歯科クリニックでは、開業場所である土地や建物について、貸主との間で賃貸借契約を締結しています。
また、歯科医業においては、さまざまな設備が必要となり、多額の医療用設備を購入したり、リース契約を締結する必要があります。
このような契約関係は、継続的にクリニックを経営していく上で基礎となるものであり、貸主との間のトラブルや、設備の破損等があった場合に医業に与える影響はとても大きいと言えます。
契約関係や法律上の問題について、院長先生が直接対応することは、そのこと自体が大きなストレスになりますし、相手方に弁護士などの専門家がいる場合に、直ちに適切な対応をしていくことは難しいと思います。
 
当事務所では、このようなテナント施設や、設備等に関わる契約や交渉について、サポートを行っています。

賃貸借契約の解除、
立ち退きを求められたケース

歯科クリニックがテナント開業している場合、入居時に、貸主との間で、賃貸借契約を締結していると思います。
多くの方は、このように賃貸借契約を締結して入居している以上、半永久的に、その施設での医業を続けていけるものと考えています。
配管工事やパーティション、医療機器の設置など、多額の費用も投下していることと思います。
 
長年同じ場所で開業していれば、そのクリニックの場所を気に入った患者さんが集まりますし、ビルに掲げた歯科の看板や、クリニックの所在地をアピールする広告などの効果が積み重なり、大きなメリットとなります。
現在通院されている患者さんだけではなく、看板などを見て、「歯が悪くなったらこのクリニックに行こう。」と考えている潜在的な患者さんも多くいらっしゃるのです。
 
このように歯科クリニックにおいて、テナント賃貸借契約を維持し、その施設をそのまま使用できるということは重要な意味を持ちます。
 
ところが、ビルのオーナーである貸主から、「老朽化しているから。」「耐震強度が不足している。」「オーナーが交代したので、このビルは取り壊す。」などと言われ、賃貸借契約の更新を拒絶されたり、賃貸借契約の解除により、退去要求をされたとしたら、どうでしょうか。
 
実際、このような事態はたくさんのテナントで起こっています。クリニックの所有地・所有建物で開業している場合以外には、十分に起こりうる事態なのです。
 
このような相談を受けた場合、まず、賃貸借契約を確認することが必要となります。
賃貸借契約が「定期建物賃貸借契約」であるか、「(普通)賃貸借契約」であるかによって全く権利関係が異なります。
 
定期建物賃貸借契約は、賃貸借期間を契約で定め、更新することなく確定的に賃貸借が終了するという契約であり、現在、多くのビルがこの定期建物賃貸借契約を採用しています。
テナントを退去させることを想定した場合、貸主にとって、定期建物賃貸借契約の方が有利だからです。
定期建物賃貸借契約には、「更新」という概念がありませんので、契約で定めた期間の満了により、契約は終了し、テナントは退去しなければなりません。このときに、移転費用などの「立退料」を請求することもできません。
もちろん、双方の合意により、再契約をして、引き続き同じ場所を使用することはあり得ますが、貸主側が応じた場合のみですので、貸主側が退去を求めた場合は、このような再契約はできません。
定期建物賃貸借契約を締結する場合、賃貸借契約期間をチェックし、期間満了により退去させられるリスクがあることも十分に注意する必要があります。
 
これに対して、「(普通)賃貸借契約」は、借主・テナント側にとって有利な契約であると言えます。普通賃貸借契約にも期間の定めはありますが、自動的に更新されていくことを前提としており、「正当の事由」がない限り、貸主側からの解除や更新拒絶は認められません。
 
したがって、普通賃貸借契約の場合、貸主から退去を求められたからと言って、直ちに応じる必要はなく、「正当の事由」があるかどうかが争点となります。
 
「正当の事由」があるかどうかは、建物の状況(老朽化、損傷の程度、大修繕の必要性等)や、貸主側で自らその建物を使用する必要性の有無などが考慮に入りますが、これらに加えて、「立退料」などの名目での財産上の給付があるかどうかも考慮されます。
 
このように、普通賃貸借契約の場合の退去の申入れについては、法的にさまざまな要素がからむ問題となりますので、直ちに弁護士などの専門家に相談することをお勧め致します。
 
また、先ほどの普通賃貸借契約か、定期賃貸借契約か、といった大きな問題だけでなく、賃貸借契約書には、設備の修繕義務がどちらにあるかとか、賃料の改定についての定めなど、テナント利用にあたって生じるさまざまな問題について記載されています。
契約の締結にあたっては、必ず内容を理解しておく必要がありますし、弁護士などの専門家に確認してもらい、リスクを把握しておく必要があります。
 
当事務所では、「強いクリニック」を作るため、クリニックに関わる契約関係の整備に取り組んでいます。
 
是非一度、当事務所にご相談ください。